今月は「家庭の事情」で家ではほとんど飲まなくなり,飲んだワインはほとんどお店やワイン会でのものでした.中旬にはムートン垂直をやりましたが,あまりパッとせず.'86の凄さを知ってしまったので,ムートンのハズレには失望が大きいのかも.そんな中で,すばらしい3本が今年を締めくくりました.
飲んだ場所:Paul,茨響ワイン会 飲んだ日付:01.12.15 コメント:久々にLeroy,しかも実に美味いLeroyを飲んだ.やっぱりブルゴーニュの行きつくところはLeroyだね!特徴的なのは「シロップ」を思わせる純粋な甘さを思わせる香りと,葡萄をよく選んで造ったと思わせる純粋な果実味.Leroyのキーワードはこの突き詰めた「純粋さ」にあると思う.外観は明るいガーネットで,エッジにわずかのオレンジ色.香りは干した果実(イチジクやプラム)にプラムのジャムやベリーのジャム,シロップが中心.フレーバーティーにありそうな花の香りとわずかな紅茶の葉.少々の乳酸と甘いスパイス.樽香はほとんど感じず,果実香が凝縮している.「自然」をかき集めた香りともいえる.味はまろやかに熟成しており,果実のコクが十分.口の中でも甘い香りが広がる.酸が適切なバランスを保っていて美味!これはピノの完成型であり,もちろんコンティも素晴らしかったが,Leroyもブルゴーニュの自然を集約した,究極の姿だと再認識した.特にドメーヌ物はいつ飲んでも素晴らしい出来だ. |
飲んだ場所:レストラン大津 飲んだ日付:01.12.18 コメント:いつもの上品(すぎる)な樽香に細身のムルソー.JFCらしいといえばその通りだが,自分としてはやはり樽香過剰に思われる.外観はうすい黄金色にわずかの緑色.香りは洋梨やリンゴの蜜もあるが,生アーモンドや木の香り,ヘーゼルナッツや蜂蜜,ヴァニラが混じった上品な香りだ.普通のムルソーはもっとシャルドネの香り(洋梨やリンゴ)にナッツやバターが香るのだが,これはまるでシャルドネに内在するナッツやアーモンドのエッセンスだけを抽出したような香りだ.なぜ??もちろんよく熟した果実にもよるのだろうが,やはりこれは使用している樽の影響が強いと思われる.これが彼の特徴であり,トレードマークである.今まで飲んだコルトン・シャルルマーニュ,ペリエール,ルジョ,ACもの…全てに共通していた.味も一貫しており,アタックはしっかりして果実味よりは酸やアルコールが強い.しかも口の中でもナッツやアーモンド香が炸裂する.アフターも長く,とても印象的だ.ムルソーという一般的なイメージからはほど遠い,いわば世界で唯一無比の「コシュ・デュリ」ワインとしか言い様がない.これをムルソーと思わない方がいいだろう.どこか「造りもん」っぽく好みじゃないけど,非常にユニークなのは否めない. |
第3位:'92 シャトー・ラフォリー・ペイラギィ 飲んだ場所:自宅 飲んだ日付:01.12.20 コメント:熟成して飲み頃になっているソーテルヌ.今回は単体としても美味しいが,コルドン・ブルーのフォアグラ講座にて自分で造ったフォアグラのテリーヌとの組み合わせが実に見事だったので,3位にランクインした.外観はモルト・ウィスキーを少し薄めたような琥珀色.少々のセメダイン香はあるが,焼いたアプリコット=アプリコットのタルトや焦げた蜂蜜香,焼き溶かした飴,さらに面白いのは少し乳酸香=生クリームやバタートーストの香りがすることだ.これがフォアグラのかすかな「くさみ(内臓臭さ)」に合うのであろう.樽のヴァニリンは少ない.味は甘いが酸がしっかりしており,口の中でもアプリコットのタルト香が香る.イケムほどの次元はなく,深みには欠けるが,いいソーテルヌだ.…それにしても,なんとフォアグラとソーテルヌは合うことだろう!ソテーもいいがテリーヌには本当にピッタリだ.バターより生臭さがあるフォアグラだが,ソーテルヌに合わせるとお互いに良いところを引き出しあっている. |
01年12月に飲んだワイン18本(種)
年,短評(値段vs内容);◎素晴しい ◯なかなか △いまいち ×ひどい,もうごめん
◎NV ドゥラモット(マグナム)…やっぱりシャンパーニュはマグナムが美味い!
△94 シャブリ,ボーロワ,Tribut
○97 プイィ・フュッセ,L. Jadot
◎98 プピーユ
◎91 ヴォーヌ・ロマネ,レ・ジュヌヴリエール,Leroy
◎95 ボヌゾー,レ・ドゥー・ザレ,Chateau de Fesles
○98 バロン・ダルキ(ムートンが南仏で造る高級ヴァン・ド・ペイ)
○87 シャトー・ムートン・ロッチルド
○83 シャトー・ムートン・ロッチルド
△81 シャトー・ムートン・ロッチルド
△75 シャトー・ムートン・ロッチルド
○NV クレマン・ド・ブルゴーニュ,Chateau Fuisse
○NV ヴーヴ・クリコ,黄ラベル
◎96 ムルソー,J.F. Coche-Dury
◎78 シャンボル・ミュジニィ,レ・シャルム,Remoissenet
◎92 シャトー・ラフォリー・ペイラギィ
△99 ACブルゴーニュ,レ・シャルム・オー・シャトラン,Denis Mortet
×99 ブルゴーニュ・アリゴテ,Robert Arnoux…妙に化学的な造り.
そして'01年の栄えあるベスト3は
第1位:'85 ロマネ・コンティ…これは文句なし,ブッチギリの特1位!
第2位:'82 シャトー・シュヴァル・ブラン…さすが「伝説」の存在
第3位:'66 シャトー・パルメ…素晴らしい古酒
次点となった出色のワインたち(ベスト10まで)
'61 シャトー・ランシュ・バージュ…リコルクって大切ね
'89 シャトー・ディケム…あと10年たったらどうなることやら!
'91 ヴォーヌ・ロマネ,レ・ジュヌヴリエール,Leroy…Leroyの素晴らしさを再認識
'90 シャサーニュ・モンラッシェ,モルジョ,Bernard
Morey…初めての造り手に感激
'16 シャトー・クテ(バルザック)…85年前の凄い甘口
'89 クリュグ,クロ・デュ・メニル…さすが!芸術品
'88 ムルソー・ペリエール,J.F. Coche-Dury…世界で唯一無比の「JFC」