04年第2四半期に飲んだワイン,ベスト3

 春になり歓迎会などのイベントで飲む機会も多く,全体にまあまあのワインが多かったものの,飛び抜けていたのはやや少なめでした.デイリーワインに「はずれ」が少なくなったかもしれませんが安くて美味なブルゴーニュやシャンパーニュがなかなか手に入らなくなったのは悲しい事です.今期のブッチギリはなんとHenri Jayer!そして02Verget,78マルゴーと続きます.

第1位:'91 エシェゾー,Henri Jayer

産地:ブルゴーニュ,ヴォーヌ・ロマネ

飲んだ場所:ワインダイニングK,04.5.25

コメント;別次元,なんとピュアなピノだろう.久々に心洗われる出来.本当に良い果実を丁寧に丁寧にワインに仕込んだように思われる.しかもまだ若々しくもあり,実は'91は良い年だったことを思わせる.
 明るいルビーレッドの外観.ブルーベリーやブラックベリー,プラム,フルーツケーキのような揮発系果実香に,少し焦がした甘い樽のvanille,わずかに革などの動物香,少しの乳酸,紅茶の葉,土の香り,木の根系スパイスなど複雑性もあり,この複雑さがヴォーヌ・ロマネのアイデンティティなのだろう.高貴な香り.しかしあくまで主体は果実香で,上品な樽香(Leroyに似るがバナナっぽさは少ない)とよく調和している.元祖新樽100%の人だが,Dugatさんほどの派手さはなく,うまく化粧した貴婦人の如き造りだ.
 味もバランスがすばらしい.アタックもしっかりして(Alc13%),果実のコクが十分,酸や緻密なタンニンと見事に調和している.タンニンは十分に沈んでいるとはいえ,まだ若さもあって(鉄サビなど)枯れている感じは受けない.アフターに果実と樽が上品に香る.
 心洗われる癒し系のピノだなあ.こんな感覚は久しくなかった.以前飲んだJayerの'85リシュブール(→99年11月)でさえ,ここまで心洗われるようには思わなかった.3週間前から瓶を立てておいて十分に澱を沈めておいたのもよかったのだろう.他のブルゴーニュがどれも二流に感じられてしまうくらいのバランスの完璧さ,芳香,純粋さ.これに対抗できる'91はないでしょう(Leroyのラトリシエールは?).他の年でさえ,DRCはこれより薄くて香りが強いし,Leroyはもっと濃くてバナナチックな樽だし….他に同じ土俵に上がれるものは考え付かない.
 時間が経つにつれて,さらに開いてカラメル香も出て来た.もう言葉はいらない.ひたすらにチビチビと呑むことがだけが極上の至福と思える,そんなワイン.かつて$180で入手したのだが,今ではもう無理(国内では10万以上).

第2位:'02 ムルソー・ティエ,Verget

産地:ブルゴーニュ,ムルソー

飲んだ場所:自宅,04.4.26

コメント;素晴らしい!理想の若いムルソー.やはり'02のVergetはいい.まだうすい黄金色に緑の入る外観.洋梨のジャムや完熟りんごのパイを思わせる果実香にナッツ,特に杏仁=アーモンドやヘーゼルナッツ,少し焦がした(ローストした)アーモンド類,バター,ミネラル!(ムルソーでミネラルは珍しいけど,若いためか?)など複雑な香りだ.すでにこれだけでハンパなムルソーではないことが判る.アルコールが少しツンツンしているところがまだ若く落ち着いていないと思わせるが,今でも十分に楽しめる造り.
 味も果実味豊かで素晴らしい.もちろん,酸やアルコールとのバランスもよく,樽のvanilleも出過ぎず,品格ある出来.'02Vergetはマコンも多く飲んだが,やはり格が違う造りだ(値段もそれなりに高いですが).こういうムルソーが自分の理想.これよりナッツや樽を強調すると,JFCやドーヴネのようになる.あと1本あるので,熟成させてみたい.

第3位:'78 シャトー・マルゴー

産地:ボルドー,マルゴー

飲んだ場所:ワインダイニングK,04.6.25

コメント;さすがシャトー・マルゴー,美味いっす!外観は透明感の高いルビーガーネット.まだレンガ色は入っていない.澱が十分に沈んで非常に美しい.香りは凝縮したカシスの香りが中心で,ベリー系やカラメル,ローストしたナッツ,スパイス,革,乳酸など,よく調和している.非常に香り高い造りだ.味にもまだ果実が残っており,タンニンは柔らかくこなれてバランスがいい.やや酸が出て細身には感じるが,エレガントな印象だ.'78生まれの4人と飲んだが,きっと満足だったことでしょう.


04年第2四半期に飲んだワイン46本(種)

年,短評(値段vs内容);◎素晴しい ◯なかなか △いまいち ×ひどい,もうごめん
赤字は印象に残ったもの,または珍品

△NV ムタール,ロゼ(シャンパーニュ);単純,味気ない
○02 ジヴリ・シャンベルタン,La Gibryotte;濃い,ピノとは思えない,樽香
○NV テタンジェ;キンキンに冷やしたBrut美味
○01 グラン・アルデッシュ,シャルドネ,L. Latour;内容が無くても温度がいい!
○00 (銘柄忘れ)グラーヴの赤;見たことないシャトーだけど00は美味
○97 ACブルゴーニュ,Claude Dugat;いくぶん下り坂,でも美味
◎02 マコン・ブルジ,アン・シャトレーヌ,Verget;前回よりは閉じた?と思ったら翌日全開
◎95 ゴッセ,セレブリス;柔らかい泡,蜂蜜,実に美味なシャンパーニュ
○00 ムルソー・ヴィルゥユVV,JF Coche-Dury(イギリスのブローカー詰);やや緩い造り,珍品
◎97 ピュリニー・モンラッシェ,シャン・ガン,Comte Lafon;これも珍品でゲキウマ,上品
○99 ヴォーヌ・ロマネ,Meo-Camuzet,ブラインドですぐ判る,ブドウの果皮をなめてる感じ
◎97 リシュブール,Anne Gros;すばらしい出来,格が違いますね,エレガントで複雑
○02 ランコニュ,Kusuda(ニュージーランド);ユニーク,食事には合わせにくい?
○93 シャトー・コス・デストゥルネル;頑張って造っているけど,この年の限界,タニック
◎02 ムルソー・ティエ,Verget;素晴らしい,理想の若いムルソー(ベスト2)
◎NV リュイナール,Brut;香り高く泡柔らかく,実に美味で上品
◎02 ACブルゴーニュ,グラン・エルヴァージュ,Verget;コート・ドールの血筋を感じさせる上品な出来
○98 エシェゾー,D. Rion;少し薄く,ミンティな樽香
◎01 ACブルゴーニュ,H. Boillot;ACブルとしては傑作,しかも2000円(03年第3四半期ベスト1
◎NV モエ・シャンドン,Brut,マグナム;いつものモエシャンもマグナムだとこんなに美味!
○02 マコン・ブルジ,アン・シャトレーヌ,Verget;今回は閉じてました,冷過ぎ?
×02 ACブルゴーニュ,Claude Dugat;残念ブショネ
○98 プピーユ;少しタニック(澱が舞った?),香り控えめ
◎79 シャトー・オー・ブリオン;驚くことにまだ若い,上品,流麗
○02 シャブリ,R&V Dauvissat;冷やすと旨いが,わずかに苦味あり
◎00 レゼルヴ・ド・ラ・コンテス;'00ボルドーはセカンドも美味,果実豊か
○NV G.ミシェル,Brut(シャンパーニュ);NVなのに不思議なヒネ系,高い
◎00 テタンジェ,グランクリュ,マグナム;ふくよかで美味,やはりマグナムはいい
△00 クロ・ナルディアン(サンテミリオンの白!);樽ばかりの嫌味なソーヴィニョン・ブラン,考え直せ!
○98 バルバレスコ,ブリッコ・アジリ,Ceretto;緻密,エレガントな出来
☆91 エシェゾー,Henri Jayer;久々に出会った純粋,癒し系,極上のピノ(ベスト1)
○95 クロ・デ・ランブレイ;良くできたピノ,上品
○01 マルサネ,ロゼ,J.Roty;良く冷やすとさっぱりしていい
△02 サン・ロマン,Verget;香りいいけど中味がダメ,安っぽい苦味あり
○02 シャブリ,R&V Dauvissat;香りは完熟だが味に少し変な苦味あり
△90 ボランジェRD;コンディションが悪かった?ヒネて泡が抜けている
△NV カミーユ・サヴェ,ロゼ(シャンパーニュ);味は単純,アルコールがストレート
×01 トレヴァー・ジョーンズ,ヴァージン・シャルドネ(オーストラリア);02は良かったのに…
△98 バタール・モンラッシェ,Bachelet-Ramonet;上品な樽だが味がイマイチ
△01 ジヴリ・シャンベルタン,Claude Dugat;この年は果実が乏しい
○00 ヴォーヌ・ロマネ,マルコンソール,Silvain-Cathiards;上品,モダン
◎92 ピュリニー・モンラッシェ,ピュセル,Verget;今は作っていない珍品,美しい熟成
×89 スペルス,Gaja;保存がダメ,熱にやられた
○NV ドゥラモット,Brut;今や安くてうまいシャンパーニュの代表
◎02 プイィ・フュッセ,ラ・ロシュ,D.Barraud;グランクリュの出来,ミネラル,すごいポテンシャル
◎78 シャトー・マルゴー;さすがうまいっす(ベスト3)

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