02年第1四半期に飲んだワイン,ベスト3!

 02年に入って,家庭の事情からほとんど家では飲まなくなりました.したがってテイスティングもワイン会のものが中心となりました.今回から,従来のように月単位ではなく,少しまとめて四半期のベスト3を選んでいきたいと思います.1本をゆっくり楽しむ時間が増えたので,全部のワインに簡単なコメントを付けました.ベスト3はこちら!

第1位:'99 シャトー・デギーユ

産地:ボルドー,コート・ド・カスティヨン

飲んだ場所:自宅,02.2.8

コメント;これはブッチギリの出来!ホントはこのページで紹介したくないほど,お値打ちで美味しく凝縮した造り.ボルドー右岸で今を時めくNeipperg(ネペール)伯爵の造るコート・ド・カスティヨンのアペラシオン,そうあのLa Mondotteを造っている伯爵傘下のシャトーだ.近所の酒屋で,伯爵のマークがさりげなく描かれたラベルを見て「もしや?」と思い購入.早速飲んでビックリし,買い占めてしまった次第.
 流行りの造りであるが,恐ろしく凝縮し果実の詰まった赤だ.同じカスティヨンで感激した'98プピーユ(→01年10月)さえ凌駕している.外観は濃い赤紫.香りはプラムジャム,ブラックベリー,ブルーベリーなどの黒系果実に樽の心地よいヴァニラ,しかも極上のフレンチオーク!さらにフルーツケーキやカラメルなど非常に芳ばしく,香りだけで完熟果実の強い凝縮感が伝わってくる.味もその通り.驚くことに「噛める」ほどに濃くトロリとしている!まさにドメーヌで試飲させてもらったあの'00,Claude Dugatのシャルム・シャンベルタンを思い出させるほど!凄い果実の凝縮味.タンニンも超多いが実に緻密で飲みやすい.とにかく濃いが,嫌みではなく,どこにも無理がない造りだ.アフターに樽が心地よく残る.近くの酒屋では3980円.ただし都内の某ショップでは2980円程度との情報もあり.この値段にして,「すべてがグラン・ヴァンとして仕上げられている」ことには驚き.ラベルもさりげないが,伯爵のプライドをぶつけたようなカッコイイ出来!まいった!フランスの雑誌,La Revue du Vin de France(RVF)にも★5つの高評価(満点)で掲載されていた(02年2月号).

第2位:'86 シャトー・ラトゥール

産地:ボルドー,ポイヤック

飲んだ場所:レストラン大津,02.3.5

コメント;もちろんパーカー点数がイマイチ(90点)なのは承知で注文したが,こういうラトゥールがあってもいいんじゃない,と感心した造り.すなわち,よく熟した果実=カベルネが満載で,タンニンが少なめなのだ.確かに軽くは感じるものの,今飲んでとても美味!同じ年にムートンが恐ろしく巨大で15年経ってもほとんど熟成しない(→00年10月)ことや,ラフィットが濃い満点ワインを造ったのと比較してはいけない.この年のラトゥールはこういう出来だった,ということを素直に体現しただけの,逆に言えば肩に力の入らない「自然体」のワインで好感を持った.香りはカシス!濃く甘いジャムを思わせるカベルネで,暑かった年なのか少し焦げたような香り(カラメル,クレーム・ブリュレ)もあり.スパイスや乳酸,獣香は少ない.味は果実味が前面に出てタンニンは陰に隠れ,そのためかやや薄くも感じるが,バランスの良い酸があるので食事にはとても合わせやすい.逆に'86ムートンのような,途方もない濃さがあると食事とは合わないだろう(胸ヤケ覚悟).同時期に飲んだ'86セグラよりも軽いくらいだけど,これはこれでいいんじゃない?デキャンタして3時間近く置いても,よく開いていて落ちる気配もないので,まだまだ飲み頃は続くのだろうと思うし,このままの素直なスタイルで熟成していくのであろう.これもラトゥールのひとつの姿だ.

第3位:'94 シャンボル・ミュジニィ,レ・ザムリューズ,Dominique Laurent

産地:ブルゴーニュ

飲んだ場所:Paul,ワイン会,01.1.20

コメント;はじめブラインドで出され,Dujacと思ったほど,香り華やかで特徴的なイチゴキャンディー系の香りだった.かき氷のイチゴ・シロップや甘いサクランぼを思わせる甘く華やかな香りはどうみてもDujacでしょうと勘違いした.外観は明るいルビー.ただし味が少し重め(でもブルゴーニュのピノの中では軽い方)に造られていて,Dujacで言えばジヴ・シャンのオー・コンボットあたりかと思ったら,このレザムリューズだった.しかも'94と聞いてビックリ!キルシュ(チェリーブランデー),上品なヴァニラ,カスタードクリーム,フルーツケーキ,ジャムトースト,フルーツヨーグルト(少々の乳酸香)など甘い香りが満載.味は果実味が多く,思ったよりタンニンが豊富だが緻密で舌触りは滑らか.一般的なピノのイメージからはやや離れるが,とてもユニークな造り手だ.ここ3年以上ドミニク・ローランは飲んでいなかったが,その良さを再認識させてくれた.


02年第1四半期に飲んだワイン31本(種)

年,短評(値段vs内容);◎素晴しい ◯なかなか △いまいち ×ひどい,もうごめん

◎NV ヴィルマール,グラン・スリエ(シャンパーニュ);年初めに美味
○96 レ・トゥレル・ド・ロングヴィル;セカンドでもポイヤックらしい
○90 クリスティアン・スネ(シャンパーニュ);ドンペリ系
△58 キャンティ・クラシコ;造り手忘れ,枯れすぎ
○99 ムルソー・ポリュゾ,F. Mikulski;話題の造り手,バランスいい
◎89 コルトン・シャルルマーニュ,Bonneau du Martray;飲み頃,さすが!
◎94 シャンボル・ミュジニィ,レ・ザムリューズ,Dominique Laurent(ベスト3)
○90 シャトー・ガザン;落ち着いて美味
◎97 バローロ,マレンガ,Luigi Pira;素晴らしい出来,若くても美味しい!
◎98 カール・ド・ショーム,Jo Pithon(ロワール甘口);甘い焼菓子系
△85 サロン;保存悪し
○97 ムルソー・ジュヌヴリエール,Remi Jobard;よく熟成してムルソーらしい
△99 ACブルゴーニュ,Denis Mortet;まだ堅い
◎61 シャトー・デュクリュ・ボーカイユ(English bottled);旨いが高すぎる
○92 シャトー・ラフォリ・ペイラギィ;中味がやや希薄
◎99 シャトー・デギーユ;これは凄い!(ベスト1)
○96 エルミタージュ(白),J-L. Chave;中味は単純
○99 モレ・サン・ドニ,クロ・ソロンVV,Fourrier;果実味が痩せていてまだバラバラ
◎NV アラン・ロベール,ブラン・ド・ブラン;ビスケットやアップルパイ!
△96 シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン;妙に濃くて不自然
◎83 シャトー・マルゴー;極々美味
◎86 シャトー・ローザン・セグラ;まだ堅い
○99 ニュイ・サン・ジョルジュ,レ・ヴォークラン,Henri Gouges;単純な中味
○NV ヴーヴ・クリコ,イエローラベル;定番
○97 ムルソー,クロ・ド・ラ・バール,Comte Lafon;酸が立ちすぎ
◎86 シャトー・ラトゥール;果実味満載(ベスト2)
○01 ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー,Henry Fessy;未だ美味
○97 カレラ,リード;香りや味はDujac系だが,アルコール強い!
△93 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ,Banfi;澱が舞って残念
◎95 ルーチェ;かなり渋い,でも美味い
◎99 シャンベルタン,Jean &Jean-Louis Trapet;濃いピノ,長熟タイプ

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