7月は初旬に夏休みをとって,フランス,ベルギー旅行をしてきました.ベルギーはブリュッセルに居る友人を尋ねての楽しい旅でした.ベルギーは初めてだったのですが,なんといってもビールの美味しいところ.特にVATと呼ばれる樽から出したばかりのビールの味は格別で,日本のビールのような苦さ主体ではなく,濃くて甘みのあるふくよかな味わいでした.帰国後酒屋を探してみましたが,瓶に入ってしまうと苦みが出てしまうようで,あのVATの味わいはみつけられませんでした.ベルギービールはまるでシャンパーニュの如く樽(瓶)内二次発酵を行うそうで,かなり澱も多いものです.各メーカーによって特製のグラスまであり,不思議なことにこの特製グラスとそのメーカーの味とがぴったり合うのです.とても面白い経験でした.
さて,7月は全体にレベルの高いワインが多く,旅行中に味わったものやNAO'S
BARでのムートン垂直試飲(詳しくはバッカスのテイスティングルームで),タストヴァン青山詣でなどいいワインたちに出会えました.計43本(種)をテイスティング!
産地;ボルドー,マルゴー 飲んだ場所;Aloyse Kloos(ブリュッセル郊外), 99.7.10 コメント;ベルギー旅行にて.友人がお勧めのフレンチに連れていってくれた時に味わった.メインディッシュが鴨のピーチソースということで選んだ.外観はエッジにわずかなオレンジ色の見えるルビー色で,明るく非常に美しい輝きを持ったもの.良い年のグランヴァンの通り「澱を落としながら美しく輝く」成長を遂げている.澱は大量.香りは非常に凝縮し若さも溢れた素晴しいもの.カシスの甘み,スパイス,ジビエのローストのような動物香,モカ,エスプレッソ,蜂蜜やカラメルなどが混じり合い,強烈に香る.この混じり合った芳しい香りが,マルゴーアペラシオンの良い年の特徴であり,他のどの地区にも真似のできないものだ.味もよく凝縮され,果実の甘みが十分でポルトを思わせる.酸やタンニンも効いているが,よくこなれてまろやかで,全体に味の構成成分がよく調和している.かつ,それぞれ(甘み,酸,タンニン)が力強くて,若さを感じさせる.アフターも非常に長い.良い出来のパルメの美点は,香りの強さ+芳しさと味のバランスの絶妙さにあると思う./なんとミシュラン1ツ星のレストランなのに,フルボトルで15000円ほど.この安さにもびっくり!日本国内では店頭で40000円位しているでしょう.このレストランのオーナーはボルドー狂いの方らしく,お会いするのを楽しみにしていましたが,夏休み(ヴァカンス)で留守.これをいいことに,我々4人はレストラン地下のセラーに潜入し,勝手にパルメを持ってきたのでした…ちゃんと,お金は払いましたよ. |
第2位:シャトー・ラ・モンドット,95年 産地;ボルドー,サン・テミリオン 飲んだ場所;タストヴァン青山,99.7.20 コメント;妻にヒンシュクを買いながらも,男3人で東京ワイン屋巡り.そのメインイヴェントであるタストヴァン青山で味わったシンデレラ・シャトーの95年,デビュー・ヴィンテージ.最後の1本を,ソムリエさんに無理を言って開けていただいた.一言でいうと,オーゾンヌ・タイプでバランスに優れた出来.明るいルビー色の外観.色からいくとピノを少し濃くした感じ.香りは,抜栓直後は意外と弱く果実香は少ない.少々のスパイシーさと青草を思わせる香りで,カベルネ・フランが多い?と思わせる(実際はメルロー75,フラン25).メルローのベリー系や乳酸香は少なく,ベリーといってもラズベリーなどやや酸っぱそうなベリーを想像させるものである.時間が経つと徐々に開いてローストやカラメルの香りが出てくるものの,果実香は全体に弱めであった.味はアタック強く甘く,酸がしっかりしているが突出してはいない.コクや広がりに乏しく,細身のイメージ.アフターに樽香を感じるが,これも突出しておらず,好感が持てる./全体にバランスが良く(細身なので好みとは言い難いが),バランスの良さは賞賛に値すると思います.パーカーが高く評価しているのでもっと濃厚か?と思ったらけっこう意外でした(ただしパーカーの本に登場するのは96年〜ですが).サン・テミリオンのコート(高台)地区の造りであることは納得.カノン・ラ・ガフリエールと同じオーナーで,造りも似ています. |
産地;アルザス(グランクリュ),Zind Humbrecht 飲んだ場所;自宅,99.7.17 コメント;初めてアルザスのミュスカを味わったが,一遍でそのファンになってしまった!マスカットの甘い香りがすると思ったら,まったく違って,白い花やキンメリジャンヌを感じる爽やかな造り.新鮮な驚きとともにすっかり気に入ってしまった.外観は明るく輝く黄金色にほんのわずかな茶色.シャルドネのような緑系は入らない.香りはマスカットの甘ったるさは全くなく,熟したグレープフルーツのような甘い柑橘系や白いバラの花,ジャスミン,アカシアなどを想像させる.ピノ・グリをやや薄くしたような甘い香りもある.味は辛口ではあるが,アタックに十分な甘さを感じ,酸も適度で非常にバランスが良い.果実味も十分に広がり,後口にわずかな苦み.ピノ・グリほどの濃厚さはないが,逆に飲みやすく,いろいろな料理と相性が良いだろうと思われる.アフターにキンメリジャンヌを思わせるミネラルの香り.この特級畑は石灰質とのこと.新たな驚きとともに,お気に入りの白ワインとなった./この下のクラスにあたるヘレンヴェーグも試してみましたが,こちらもなかなかの良い出来.しかもゴールダートは小売で3500円程,ヘレンヴェーグは2350円程でどちらも,いまのところ一押し!の白です.今年の夏はミュスカを「発見」できたことが私にとっては収穫でした. |
99年7月に飲んだワイン43本(種)
短評(値段vs内容);◎素晴しい ◯なかなか △いまいち ×ひどい,もうごめん
◯NV ゴッセ,グラン・レゼルヴ,ブリュット(シャンパーニュ)
◯90 ル・フィエフ・ド・ラグランジュ(サン・ジュリアン,ボルドー)
◯NV ポメリー,ブリュット・ロワイヤル(シャンパーニュ)
◎90 シャブリ,ル・クロ(造り手記録せず,ブルゴーニュ)
◯95 サン・テステフ・ド・カロン(サン・テステフ,ボルドー)
◎85 ルーショット・シャンベルタン,G.Mugneret(ブルゴーニュ)
◎83 ヴォーヌ・ロマネ,クロ・パラントゥ,Henri Jayer(ブルゴーニュ)…パリのAlain Ducasseにてスイス人のワイン商よりごちそうになった.素晴しい出来!
△89 ヴーヴ・クリコ,ゴールド・ラベル(シャンパーニュ)
◎NV ジャック・スロス,キュヴェ・トラディション,ブラン・ド・ブラン(シャンパーニュ)
◯NV フランチャコルタ,スプマンテ,ブリュット(ロンバルディア)
◯93 バルバレスコ,P.Cesarre(ピエモンテ)
◯82 ボランジェ,グラン・ダネ(シャンパーニュ)
◎83 シャトー・パルメ(マルゴー,ボルドー)
◯NV モノポール,ペルレ(ルクセンブルグ),弱発泡性
◎95 ACブルゴーニュ,M.Lafarge(ブルゴーニュ)
◎97 ミュスカ,ゴールダート,Zind Humbrecht(アルザス)
△91 シャトー・ムートン・ロートシルト(ポイヤック,ボルドー)…樽香が強すぎ
△81 シャトー・ムートン・ロートシルト(ポイヤック,ボルドー)…樽香が強すぎ
◎76 シャトー・ムートン・ロートシルト(ポイヤック,ボルドー)
◯71 シャトー・ムートン・ロートシルト(ポイヤック,ボルドー)
◎59 クロ・ド・ヴージョ,F.Gros(ブルゴーニュ)
◯ ナーエ,QbA(ミュラー・トゥルガウ,ドイツ)…ヴィンテージ記録せず
◯ ナーエ,カビネット(ショイレーベ,ドイツ)…ヴィンテージ記録せず
◯ ナーエ,シュペートレーゼ(リースリング,ドイツ)…ヴィンテージ記録せず
◯ ラインガウ,アウスレーゼ(ヴァイスブルグンダー,ドイツ)…ヴィンテージ記録せず
△ ポルトギーザー(赤,ドイツ)…ヴィンテージ記録せず
◯97 ACコート・デュ・ローヌ,E.Guigal(ローヌ)
◯97 シャルドネ,VdP,Laroche(ラングドック)
◯92 シャトー・ムートン・ロートシルト(ポイヤック,ボルドー)
△95 スタッグス・リープSLV(カルフォルニア)
◯NV オーヴァーチュア(Opus1のセカンドワイン,カルフォルニア)
◎95 シャトー・ラ・モンドット(サン・テミリオン,ボルドー)
◎79 ACピュリニー・モンラッシェ,R.Ampeau(ブルゴーニュ)
◯95 ACブルゴーニュ,Alain Burguet(ブルゴーニュ)
◯NV ヴーヴ・クリコ,イエローラベル(シャンパーニュ)
◯85 ACピュリニー・モンラッシェ,Remoissenet(ブルゴーニュ)
△95 マルサネ,J.Roty(ブルゴーニュ)
△95 マルサネ,B.Clair(ブルゴーニュ)
◯95 フィクサン,M.Mugneret(ブルゴーニュ)
◯96 フィクサン,D.Laurent(ブルゴーニュ)
×90 フィクサン,クロ・ナポレオン,Gelin(ブルゴーニュ)
◯95 ACブルゴーニュ,Alain Burguet(ブルゴーニュ)
◎97 ミュスカ,ヘレンヴェーグ,Zind Humbrecht(アルザス)