99年4月に飲んだワイン,ベスト3!プラスアルファ

 今月は図らずもマルゴー(アペラシオン)を見直させてくれる2本が上位になりました.今までマルゴーというと細身でタンニンや酸が多く,全然感心しなかったのですが,今回の2本は素晴らしいものでした.また,今月はコス・デストゥルネルの垂直テイスティングもやりました.こちらは「バッカス」のテイスティングルームでお楽しみ下さい.また番外編として「飲んではいけない(あるいは早々に飲んだ方がいい)グラン・ヴァン,パート2!」の話も.

第1位:シャトー・パルメ,82年

産地:ボルドー,マルゴー
飲んだ場所:加護や(ひたちなか市)
 持ち込みワイン会,99.4.4

コメント:傑出して素晴しかった.RP88ながらも素晴しい出来.外観は明るめのガーネットだが全体に引き締まって濃い.澱は細かくやや少なめ.香りはものすごく強く,82ならではの「くささ」がある.甘い果実香にスパイス,モカ,グリエ,動物香(なめし革)や枯れ葉の香りが混じり合って,強烈に延髄を直撃する!味は滑らか.アタック強く甘く酸は控えめで,ボディはしっかりしており,タンニンは多いが緻密なので絹のような舌触り(ビロードまではいかない).82なのに十分エレガントで滑らか,かつパワフル.アフターに果実やグリエの香りが長い.83の方が良い出来だったらしいが,82でも十分にスゴイ!アメリカで$109で入手したものだが,値段にも満足(タイユヴァンで45000円!だそうだ).今まであまり良い印象ではなかったマルゴーというアペラシオンを見直させてくれた1本.

第2位:シャトー・マルゴー,81年

産地:ボルドー,マルゴー
飲んだ場所:自宅,99.4.29

コメント:さすが!と思わせる出来.外観は深いルビーガーネット.カベルネの多いせいか(81でも)十分に濃い色.香りは良く凝縮しており,カシスのジャムのような甘い香りに(新樽由来の)ローストの香り.わずかに土の匂い.デキャンタすると土の匂いは消えて,甘い果実香が全開となった.アタック強く甘く,酸も適度で柔らかい.非常に滑らかな舌触りで,まったりとした凝縮感.果実の甘みに富み,官能的な仕上がり.アフターにも果実香が長い.果実の甘みとロースト香が強く,ジビエにぴったりと思われた.81年は比較的軽めの年ながら,さすがマルゴーは違う!と納得.これもマルゴーというアペラシオンを見直させてくれた.こちらもアメリカで$129とお買い得!でした.

第3位:ヴォーヌ・ロマネ,95年

産地:ブルゴーニュ,ヴォーヌ・ロマネ村
造り手:Domaine Meo-Camuzet
飲んだ場所:NAO'S BAR持ち込み,99.4.17

コメント:村名ACでここまでやるか!と驚嘆させられた素晴しい造り.土浦鈴木屋にモノポールを探しに行ったのに思わず衝動買いしてしまった.外観はとてもピノとは思えない濃いルビー色.(これはボルドーの色だよ!)香りは凝縮されており,ブラックベリーなどの完熟のベリー系,バターやヤクルトの乳酸,かすかに紅茶の葉の香り.よく熟したメルローに似る.味はアタック強く甘い.酸もしっかりしているが突出しておらず,バランスが素晴しく良い.凝縮した味わいが強く,細身だと思っていた95の印象が一転してしまった.澱まで出てる!(ノンフィルターでしょう)さすがメオ!!

もひとつ第3位:エルミタージュ,89年

産地:コート・デュ・ローヌ,エルミタージュ
飲んだ場所:ラ・ターシュ(飯田橋),99.4.11

コメント:飯田橋の小粋なビストロで味わった素晴しいエルミタージュ.ブシャール(ボーヌの造り手)だけにややブルゴーニュ寄りの造りかと思われる.外観は明るいガーネットルビーで,熟成したブルゴーニュのよう.香りはプラムのジャムや動物香,すなわち良いメルローの香りに黒コショウのスパイシーさが加わったような香りで,熟成したシラーの良さが現われている.味は柔らかく,酸も適度で飲みやすい.おいしい,と素直に味わえる.アフターに苦みが残るが,鉄さびというほどではない.澱は細かく少ない.鴨や子羊によくあった.値段(フルボトルで7000円)も良心的.


番外編「飲んではいけない(あるいは早々に飲んだ方がいい)グラン・ヴァン,パート2!」

ドメーヌ・ド・シュヴァリエ,95年

産地:ボルドー,ペサック・レオニャン(グラーヴ)
飲んだ場所:自宅,99.4.28

コメント:失望.よくあるセカンド・ワインの造り,あるいは(樽を使った)イタリアのVdTのカベルネか新世界のカベルネを思わせるもの.すなわちあまりにも樽香が強すぎるのだ.外観は若い紫色.果実香に乏しく,樽由来のヴァニラ香やロースト香にカシスの香りが「お情け」程度に付いているだけ.パーカーの言う通り「果実香はどこへ行ってしまったのだろう?」.味も同様で,ヴァニラの香りが口一杯に広がり,コクに乏しく,単調で水っぽい.酸は少なく柔らかだが,タンニンまで情けないほどに弱い.あるのはアルコール分のみ.これがうまく熟成するとは到底信じられない.グラン・ヴァンといってはいけない出来.これでハーフで3580円もするのは暴利としか思えない.銀座の某有名ワインショップで「グラーヴ地域の特長がよく出ている名作」といって売っていたのには唖然とした.


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